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第9回後編補足:「みんなでわいわい」「それぞれもくもく」で研究室内卒論指導

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お詫び~年始行事の卒論指導

あけましておめでとうございます*1千葉大学政経学部の前身である法経学部では、法学科、経済学科、総合政策学科という学科があり、私は総合政策学科の担当教員をしております。経済学科と総合政策学科には卒業論文指導というものがあります。・・・実は私自身卒業論文を執筆したこともなく、指導も初めてで・・・端的にいえば、第10回の記事をアップする余裕がなくなってしまいました。第10回記事は第3金曜日・第5金曜日の更新とさせていただきます。
そこで、本日は、第10回【前編】の代わりに、第9回【後編】の補足として、現在進行形で行っている「研究室内」卒論指導の様子についてお伝えしたいと思います。

「研究室内」卒論指導

まず前提として、横田明美研究室は、教員個人用執務スペースの前に、応接セットがあります。学生が相談に来ると、そのソファに座ってもらい、コーヒーを飲みながらその日の相談事を話してもらうことになっています。この記事を執筆している1月6日(水)14時現在も、2人の学生(横田ゼミ生の4年生)が座っています*2。いま彼女らが取り組んでいるのが、「卒論の終章執筆」のためのブレインストーミングです。

卒論指導のロードマップ

第9回【後編】で紹介した自主ゼミのロードマップになぞらえて、今日行っている卒論指導の様子を書き起こしてみましょう。

  1. はじめに(5分):各自の今日の目標と研究室で相談したい内容を確認し、もし教員や他の学生に聞いてみたいことがあれば前もって言っておく*3
  2. わいわい(ひとりにつき5分×人数分):研究室で相談したい内容に基づいて順番を決め、相談をする。他の学生も、コメントがあれば適宜行う。それぞれの相談の最後には、「次に何を考えなければいけないか」を確認する。
  3. もくもく(25分):時間をきめて、各自の「次に考えなければいけないこと」について、ふせんメモをたくさん書いたり、ノートにまとめたりしながら、もくもくと考える。*4
  4. 休憩(10分):いったん休憩する。お互いの進み具合などについて軽く声をかけあったりする
  5. わいわい(15分):どこまで進んだのかをお互いに確認し、疑問や相談事があれば質問する
  6. もくもく(25分):さらに各自の「考えるべきこと」にとりかかる
  7. 以降、「わいわい」と「もくもく」を繰り返し、研究室でやれる範囲の下準備がすべて終わった者から帰宅する(個別に「おわりに」を行う)。
  8. おわりに(5分):帰宅後にまずとりかかるべき内容を決め、次に研究室を訪ねるときまでに行うことを決める

ポイント

このロードマップによる指導は常におこなっているわけではなく、提出期限まで50時間を切った状況なので行っている、いわば「緊急事態」対応です。ですが、「もくもく」と「わいわい」を組み合わせると、複数の学生を同時に相手にしていても全員が満足いく形で指導を続けることができることがわかりました。

具体例~卒論の結論部、終章を考えよう

例を挙げると、今日相談に来ている学生は、あと50時間後に提出しなければならないにも関わらず、終章の書き方がわからなくなってしまった、という学生です。その状況を「2.わいわい」で確認しました。いずれの学生も、資料を適切に集めたものの、当初書きたかったことと実際に調べることができた内容とが少しずれたために、どうしてよいのかわからなくなったようです。
そこで、「2.わいわい」での教員側のコメントとしては、「もう一度、論文の『はじめに』と『おわりに』を練り直すつもりで、『これまで調べたことで何か言えそうなことはないか』、『そのためにはどんな項目が必要か』をもう一度口頭で説明してみよう」という課題を出しました。そして、「30分後にそれを聞くので、まずは自分の草稿からメモをつくってみよう」という、「3.もくもく」で取りかかるべき「次に考えなければならないこと」の指示を出しました。
「3.もくもく」では、各自が「調べた範囲で何が言えそうか」についてのメモをたくさんつくり、「4.休憩」をはさんで、「5.わいわい」として、各自の意見を口述してもらうことにしました。この口述も、「自分がしゃべったことで良いアイデアがあったら、一旦話すのをやめてもいいからメモをとること」という指示を出しました。
このようにステップを踏むことで、学生の手元には「なんとか書き進めるためのメモ」が残りますし、他の学生の発言を聞いている間にメモをとったり、自分の論文を客観的に捉え直すことができます。

他に生かせそうな場面は?

このやり方がうまくいったので、今後も集団的に指導するときには同じやり方でやってみようと思います。たとえば、試験の講評を個別にするときなどが良いかもしれません*5
教員の皆様、あるいは卒論に追われている学生の皆様、集団指導のやり方や自主ゼミの進め方として参考にしてください。
なお、ベースになっているロードマップは、「タイプ2 持ち寄り『自学』ゼミ~もくもく『自学』をみんなでやろう」です。私自身も裏で「もくもく」原稿の執筆を進めております・・・。

まとめ

卒論指導は「ブーメラン」です。博士論文執筆時に指導教員や友人たちから言われていたことを、そのまま目の前の学生に伝えるようなものでして、「その失敗、私もやったなあ」と想いながら指導しています。指導教員の部屋を訪ね、教員や他の院生と話しながら前に進めるということ自体、私の博士論文執筆時によくある光景でした。
それでは、このような調子で今週は卒論指導に集中させていただき、本来予定していた「第10回:法科大学院に進学するあなたへ」は第3金曜日である1月14日・第5金曜日である29日更新予定とさせていただきます。お待たせして申し訳ありません。

*1:今回は「お詫び」を含む内容であることから、敬体で執筆します。

*2:その後、ほぼ書き上がっている一名を除く全員(計4名)がやってきましたので、かわるがわる指導をしました。

*3:なお、横田研究室の場合は、この「はじめに」を行っている間に人数分のお茶やコーヒーも淹れています。コーヒーを手回しミルで挽く音が鳴っている間は集中して話すことはできないので、ある種気楽な雰囲気で各自の目的等を確認することができます。

*4:なお、この時間に教員である私は仕切りの向こう側の執務スペースで別の仕事をしています。学生用にはソファの前のローテーブルと予備の会議用机などのスペースを提供しています。

*5:もちろん、参加学生にお互いの答案を見せて良いかの許可を取らないといけないですが。

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